2018年度、京都府臨床心理士会主催 自殺対策シンポジウムに参加して来ました。
メインゲストは、岡 壇先生(情報・システム研究機構 統計数理研究所 医療健康データ科学研究センター 特任助教)で、演題は「未来を生き抜く力、見つけたい〜日本で最も自殺の少ない町の調査から〜」。
日本で“最も”自殺の少ない町とは、徳島県旧海部町のこと。この町は移住者によって発展した地縁血縁の薄いコミュニティで、都会の殺伐とした希薄な人間関係でもなく、閉鎖的なムラ社会でもない。いろんな人が“いてもいい”ではなく、“いたほうがいい”と考える。
⚫︎海部町で“当たり前”になっていること
・“人は欲深く、誘惑に負ける、間違いをおかすもの”であるということ
・“想定外のことが起きるのが、世の中”であるということ
⚫︎海部町コミュニティに際立っている要素
・多様性を重視する
・人の評価は多角的に、長い目で
・どうせ自分なんて、と考えない
・助けを求める、弱音を吐ける
・緊密すぎない、ゆるやかな人間関係
先生の著書、『生き心地の良い町―この自殺率の低さには理由(わけ)がある』(講談社、2013年)を読んだことがあり、今回は司会進行をお手伝いさせていただき多少ばたばたしましたが、直接お話を伺えて改めて考え深めることができました。後日また書いてみたいと思います。
海部町を取り上げた著書として、岡檀氏のほかに森川すいめい氏の「その島のひとたちは、ひとの話をきかない」(青土社、2016)があります。
どちらも立ち読み程度に読んだことがあり、それらを踏まえてblogの感想を書いてみます。
共同体では問題が起こらないように、
監視を強くする=ルールが多い→機動性が欠けてしまい、問題解決がスムーズにいかない。
(監視が強すぎると失敗ができない→弱音を吐けない→病を市に出せない→つらいまま)
一般的にこのような状態が起きていると思います。
もちろん問題を未然に防ぐためのある程度の監視は必要だと思います。
しかし海部町では
・想定外のことが起こるのが当たり前
・人は間違いをおかすもの
このようなことが共通認識となっているために、
(町民の意図は別として)機動性に欠ける”監視”ではなく、ゆるやかな”関心”になっているのだと個人的には感じました。
また、海部町コミュニティに際立っている要素5つ。
読むのは簡単ですが、実際に行動に移すのは、環境要因も含めて難しいことも一部あると感じました。
そのあたりは後日のblogに期待したいと思います。
ありがとうございました。