強迫症/強迫性障害

英語では、Obsessive Compulsive Disorderといいます。以下、OCDと書きます。

⚫︎OCDの特徴とは
一般には、きれい好き、潔癖症、心配症、完璧主義といった言葉で表現されています。ストイックな世界で生きている芸能人やアスリートの方でも公言されている方がおられますよね。この病になると、自分の行為が完全だったかどうか絶えず疑いが止まず、何度もくり返し確かめないと気がすまなくなります。回復は、精神科の薬物療法単独よりも、行動療法を一緒におこなった方が回復が早く、再発も少ないことが研究から分かっています。

⚫︎OCDの症状とは
・ヨゴレに関するもの…トイレで用を足したり電車のつり革や食品に触れたりした時などに、“バイ菌が付いたた”と不快が生まれます。さらに身の回りのいろんなものに触れて汚れが広がると感じるようになり、何度も手を洗ったり、何時間もお風呂に入ったり、除菌スプレーを大量に使うとか、あるいは汚れないように部屋にこもるようになります。

・安全確認に関するもの…家を出る時や車を降りろ時に“鍵をきちんとかけたか、コンロの火を消し忘れたのでは”と不安になり、ドアノブや火の元が閉まっているかや手順に間違いがないか何度も確認します。他には、家にいて“泥棒や何か悪いものが入って来るのでは”と恐れて玄関のドアを内側から何重にも施錠するということもあります。一連の作業手順を思い返して頭の中で確かめたりしないと気が済まなくなります。

・加害行為への疑念に関するもの…車の運転中に振動が起きると、“タイヤで人をひいたのでは”、“他の車にぶつかったのでは”という不安が沸き、その場所に戻って人をひいていないか確認したり、周囲に人がいないか終始目を配りながらスピードを落として運転したり、そもそも自分1人で運転できなくなったり。その他にも、誤って人を傷つけた迷惑をかけたのではという不安にさいなまれます。

・順序や数字に関するもの…衣服を着るときや外出するときなどに、“必ず決まった順序で行わなくてはいけない”と考え、順番を間違うと最初からやり直し、事前に充分シュミレーションしてからでないと始めることができず、1つの行為に長い時間を費やします。他には、特定の数字を不吉と強く感じてあらゆる行為の際に逐一その数字を避けようとするケースや、ものの配置などに強くこだわるケースもあります。

・溜め込みに関するもの…不要なものでも、“いつかまた使うのでは”、“何か大切なものが紛れているのでは”という思い込みから捨てられず、部屋がもので埋め尽くされることもあります。

・気持ち良さや気になることの追求…不安や不快を避けるだけではなく,気持ちよさの追求が核のケースもあります。例えば、パチンコに当たりが来て玉がジャーっと出る瞬間が忘れられず止められない、整形を1度試みたらもっと試したい。曖昧な答えでは気がすまず、気になることの答えがしっくり腑に落ちたり相手からの回答はっきりクリアになるまで追求したり、自分の体に納得いく感覚を追求してむしったりして確認します。この気持ち良さやスッキリやピッタリの感覚を求めれば求めるほど、より強い刺激でないと反応しなくなり、まさに“病みつき”という状態に陥ります。

⚫︎どこからが病か正常か
症状があればイコール病であるとは限りません。幾つかの視点を書いてみます。
・金銭的負担、人的負担が強くないか…ヨゴレに関する恐れが強まると、石鹸や除菌スプレーや水の消費量が増えます。安全確認に纏わる不安強まると、繰り返し確認するあまりドアノブが壊れたり、より安心安全を得ようと頑丈な鍵に変えたりします。いずれも出費がかさみますが、大金持ちの家に生まれ家政婦さんがいて手伝ってくれるとか自分で働いていて稼ぎがよくて金銭的に困っていないならば、症状で多かれ少なかれ苦痛があっても苦悩に至ることはないですね。しかし、体も知的にも能力があるのに自立していないというのは病気の範疇だと言えます。
・家族関係に亀裂が生じていないか…ヨゴレに関する恐れが強まると家族にも徹底した掃除を求めたり、安全や加害の恐れが強まると自分で確認するだけでは安心できずに何度も確認させたりするなど、これらはOCDによる巻き込みという現象です。OCDによって家族関係に亀裂や溝がもたらされ、そもそもこの苦しみが続くのは“家族のせいだ”、“過去にあった嫌な出来事が原因だ”と、問題が他に責任転嫁されます。
・仕事に支障をきたしていないか…朝家を出る時や運転に長い時間を要して遅刻するとか、作業の順序や進みがいかに予定通りいくかにこだわるあまり作業にスタートがきれないとか作業に時間を要して上司の求める期限に間に合わず苦言を呈されたり業務評価を落とされたりします。
・パフォーマンスを阻害されていないか…野球選手やゴルファーが“球が本来のように飛ばない、球を繰り出す時に今までの感覚と違う”とか、歌手や音楽家の方は“声や音そのものが出せない、本来の自分の音が出せない”といった状態に陥ることがあります。レベルが上がりプレッシャーが募ればつのるほど生じやすく、上手くしようと思うほどドツボにはまります。この現象はイップスとも呼ばれ、まさにOCDのメカニズムです。

⚫︎他に心に留めておきたいこと
・うつ病やパニック症/パニック障害、職場不適応や成人の発達障害が長引いている時、実はOCDが併存しているとか、そもそも中核はOCDだったという場合が少なくありません。うつ病やパニック障害は本来とても治りが早い病ですし、OCDは頭の中で繰り返し確認するなど目に見えない形で生じていることも多いため発見が遅れがちです。
・悪いモノを取り除かねば、OCDという奇妙な心の病を追い払わなくてはと挑むよりも、“自分の生活をより豊かにするには、よりしなやかな強さを手にするにはどうしたらいいか”、という視点が役に立つと思います。

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